中部銀次郎

何もかもアドレスが決める

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すでに、ジャック・ニクラウスの言葉を借りるまでもなく、スウィング中で最大限にチェックできるのは“アドレス”しかない。

それは、自分の意志(チェックしたいという)が、このアドレスの状態だけはどんなふうにも伝えることができるからなのである。何故なら、テークバックに入った瞬間からトップ・オブ・スウィング、ダウンスウィング、そしてインパクト、フォロー、フィニッシュと言葉としては部分的に言えるが、この“運動”は、当然継続しているもので、しかもそれが、秒単位、それも1秒と0コンマ計算での動きなのである。

さて、その秒単位の動きの中で、あなたはどの程度、チェックし、しかも自分の意識と意志の中で考えられることができますか。0コンマ何秒のダウンスウィングでここが悪いから、0コンマ何秒もう少しこうした方がいい……と言われているのと同じなのである。私は、到底考えられません。それは、寸分の狂いもなくコンピューターで動かすミサイルや、月ロケットならともかく、スウィングするのはコンピューターでなく、人間なのだから、まず無理と言っていい。

いや、もっときつく言えば、スウィング中の細かいチェックなどは、してはいけないのだ。それをするから、スウィングが余計難しくなってくるのである。

では、まず徹底的にチェックできるのは、どこか。それはアドレスしかないのだ。アドレスが、徹底的にチェックできる理由は、実に簡単である。0コンマ何秒の世界にアドレスがないからである。

それで、ニクラウスの言葉が、わかったと思う。テークバックする瞬間まで、アドレスのチェックに何時間(とは言わないまでも)1分でも、少なくとも0コンマの世界でなく考え、チェックできるのである。

そして、何よりも頭に入れておいて欲しいことは“アドレスで99.9パーセント決まってしまう”ということである。いいボール、いいショット。もし、それをあなたが望むなら、アドレスだけを、まず完全にチェックしてスウィングをつくることだ。

逆に言えば、アドレスが間違っていれば、すでにその後の運動(スウィング)は、全く違っていて、それ以上を望むべくもないのである。

間違ったアドレスのまま、いくらいいボール、いいショットを期待しても、全く無意味なのだ。よく、練習場やコースで見かける悩み多き人々は、10人中10人がアドレスでのミスが原因であったといってもいい。だからこそ、私は、しつこいほど、自分自身でチェック・ポイントをメモにして、スタート前までにもう一度読みかえし、何度も自分の頭の中に叩き込み、そしてチェックするのである。

(2)

では、一体何を気をつけたらいいのか。これは、ひとによってその内容が違ってくる問題だ。気持ち良くアドレスできる回数がどの程度あるかどうか。そして、問題は、気持ちよくアドレスできなかったときに、何が原因でそうなっているかということを、自分自身で把握しなければならない。例えば、左斜面でアドレスしたときにその中で何とかしたらうまく立てるものが見つかるはずである。最初に立ったときは、しっくりこない。ちょっとウェイトを左にかけたらうまく立てた。ということであれば。斜面にできるだけ直角に立てばいい。ということがわかってくるはずだ。

もちろん、ケース・バイ・ケースではあるが、どんな状況でも地面に対して、うまく気持ちよく立てることを発見して行くわけだ。誰もが、平らな地面で立つのは、中でもそう難しくないと思うが、実際は、そんな平らな所というのが、あるだろうか。ティ・グラウンドでさえ少ないのである。自分の頭の中に、身体の中に、適応できるものをつかまえておかなければならないのである。

アドレスの最大の目的は、できるだけうまく打てるための構えであり、ボールを打つための始動のかたちである。ただここでひとつ考えなければいけないことは、円運動ではなく、頭を中心とした楕円の運動なのだということである。

そのクラブ・ヘッドの描く軌道は、テークバックからインパクトまで、また、その後の円の描く軌道は、完全に円ではない。当然である。さて、この当然のことが、どこに現われているか。イラストを見てほしい。地面に対して平らな所で垂直に立っている。ところが、頭とボールのある所を線で結んでゆくと、地面に対して角度がついている。

私の場合、この角度部が、ウェイト・シフト部ということなのだ。ボールの位置は、私の場合、ドライバーで左足かかとから、ボール1個分弱ほど内側(右足より)に置いてある。これも人によって違ってくる。ウェイト・シフトの大きい人は、それだけ角度がついて(左足より)来るだろう。

つまり、垂直にした点と、ボールの位置の分だけ、楕円になって来るわけだ。アドレスでのボールの位置、頭の位置それらすべてが、よりよいスウィング(インパクト)をつくるために大切なものである。もし、ボールが左足よりになく真ん中にあったら、ウェイト・シフトをする意味がなくなってくる。真ん中にボールを置いてウェイト・シフトをして打ったら、狙った地点よりもボールは、はるかに右に出てしまうだろう。

こうして、ひとつひとつ、アドレスだけを噛みくだいて考えてみても、普段は何の意識もなく見逃がして、簡単にしてしまうアドレスでも、考えられないほどの問題点というのがどんどん出てくるはずである。まず、それをひとつひとつ自分の中に消化してからコースに挑むことを考える必要がある。練習場でのチェック・ポイント。意外に気軽にボールをポンポン打っている人が多いけれど、果たして、こんなあたりまえでしかも重大なことをじっくりと考えて、ボールを打っている人がいるだろうか。

アドレスの問題については、次回にも詳しく触れてみたいと思う。練習場に行って、自分のアドレスを、もう一度見直して、問題点を解消するべくボールを打ってみたら、きっといい結果が出るだろう。