中部銀次郎

最初のハーフがいいと、後が悪い

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知らずのうちに“常識のウソ”的な事柄が、自然に入っていて、実は、それが大きな間違いであるにもかかわらず、実践している人が、いかに多いかということに私は、気がつく。

中で、よく言われることは、アウト、イン。18ホールズを、9ホールずつ区切って考えることだ。

だから「いやあ。最初のハーフは、もの凄く調子がいいんですよ。すると、どういうわけか、後のハーフがメロメロになってしまってね」

どうして、こういう結果になるのか。理由はあるのだが、その前に、ハーフごとに区切らなければ、決してこういう結果は生まれないということを言っておきたい。ハーフごとに区切ること自体が、大変なミスを犯していることなのである。ここから出発して考えるから、まちがいなのだ。ハーフごと、は、すでに常識となってはいるが、ここに“ウソ”があることに意外に気づかない。

――まず、18ホール、ないし27ホール…つまり、1日を単位でプレーを考えなくてはいけない。それを“ひとつ”として考えるのである。そう考えれば、ハンディ10の人は、18ホール中10回ミスが許される。15の人は、15回。20の人は、20回。これを逆に、9ホールに区切ったら、9ホールで、たったの5回しかミスは許されないという意識になって来る。

わっと数を細分化すると、とんでもないことになる。出だし3ホールで、ボギー、トリプル・ボギー、そしてボギーを叩いてのスタートなら、これでもう5オーバーになってしまった。ハンディ10の人なら、9ホールで区切ったら、もう残り6ホールは、全部、最低パー・プレーで回らないといけなくなる。

こんな、心理的に“窮屈”な思いをしていたら、いいスコアが出るはずはない。これがハンディが多い人でも同じである。すぐに前後を計算するし、自分のハンディから逆算してプレーしようとする。うまく行っているときはいいけど、ミスが多いと、もうそれで終わってしまう。

ハンディが多くなればなるほど、もっとゆったりとしたプレーが必要ではないだろうか。それでなくても忙しいプレーをしなければならないのだから……。

まず、ハーフごとに区切らないこと。そうすれば、ハンディ20なら18ホール中20回の失敗をしていいわけなのだから。――この頭がないから、冒頭のコメントが出て来るのである。

何故か。最初の9ホールがいいと、残りのイン9ホールに入ったら、急に自分自身の“態度”が変わって来る。よし、アウトの好調をそのままなんとかして持続させよう。そのアウトの良さを打ち消さずに、うまく行くようにやりたいというのは、ここですでに本来のゴルフを失ってしまうのである。これが、まず自分を心理的に窮屈にさせてしまうのである。今度は、守りのゴルフになる。この守りのゴルフをして、いい結果が得られるということは、まず、ない。言ってみれば実に簡単な理由である。簡単であるだけに、すぐに捨て切れない潜在意識なのでもある。

逆に、アウトが悪いとインがいい。これは、その全く逆の心理が働く。インに入って、もう慎重さもなにもない。どうせ……と思うこともあるだろう。これがいい結果をもたらすこと“も”ある。

(2)

では、どういう気持で常にプレーできれば、いい結果が生まれるようになるのだろうか。これは、ハンディの多少でも違いがある。(ここでひとつ注意しておきたいことがある。クラブ・ハンディにしろプライベート・ハンディにしろ、自分のハンディキャップというのは、自分のベストの状態でのスコアによるものであるという再確認をしてもらいたい。おそらく、自分のハンディにプラス2〜3で常に回れる人がいたら、最高と思わなくてはいけないだろう)

ところで、どういう心構えでプレーをすべきかについてだが、勿論、全体につながることだが、特にハンディの多い人15〜36ぐらいの人は“1ホールずつ消化して、気がついてみたら18ホールズが過ぎていた”というラウンドが、最高ではないだろうか。

1ホールを一所懸命プレーする。次のホールにやって来たら、何があっても新たに、白紙の状態に戻してプレーする。難しい。確かに難しいことである。ところが、これは絶対に守らなければいけないことなのだ。何番ホールでどうだったとか、まだひとつのホールが終わっていないうちから、次の何番ホールでは……などと決して考えてはいけない。何番ホールという考えではなく、ひとつのホールを終えたら、今度はパー4のホール。これだけしか考えない。何故なら、それが今、あなたが攻めなくてはいけないホールなのだから。過去を振りかえっても、先を読んでもいけない。そんな余裕はないのだから。私が、先ほど、ハンディキャップについて言い直したのは、自分自分をはっきりと認識したプレーをして欲しいからである。そのためにハンディキャップがあるのだ。他人よりも劣っているから……的な対比のしかたはいけない。何故なら“はじめはみんな下手”だったのである。そんな高望みをするよりも、堂々と自分の技量を認めてプレーするべきではないだろうか。

ハンディが少ない人のプレーは、ちょっと違う。18ホールズを見回して、自分が設定したホールで80〜90パーセントの確率でパーのとれる人。その場合は、トラブルに陥ったときの攻め方も変わって来るし、読めるのである。だが、往々にして、ここまで余裕をもった(体力的、精神的、技術的に)人というのは数少ないのだ。さりとて、こういったレベルの人がプレーしていても、ひとつのホールはひとつ。やはり、基本的には同じ気持でプレーしているのである。

何度もここで言うようだけれども、技術というのは、ただ練習場でボールを数打てばいいだけのものではないのだ。

ミスを犯したり、たった1回のミス・ショットが、ずっと尾を引いてしまうプレーヤー。こういったすぐに忘れることのできないプレーヤーは、練習場でボールを打つ前に、まず気持ちのスイッチを持つべく努力をしたらいいのではないだろうか。とにかく“はじめはみんな下手”なのだから……。